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「あいサポート企業」になって、鳥取から“輪”を広げよう!実際に「あいサポート研修」を受けてみました【あいサポート運動×鳥取ぺんぎんVol.3】

こちらの記事は、「あいサポート運動×鳥取ぺんぎん」コラボ企画の記事第3弾です。
「あいサポート運動」は、平成21年の11月に、鳥取県から始まりました。現在はその輪が広がり、全国8県と23市町、その他3,000以上の企業などが参加しています。
そんな鳥取県から始まった「あいサポート運動」をもっとみなさんに知ってもらいたい、運動の輪を広げていきたいという思いから、「あいサポート運動×鳥取ぺんぎん」コラボ企画【あいサポ+ぺんぎんプロジェクト】が始動しました!
第1弾では、「あいサポート運動」とは?をテーマに、鳥取県障がい福祉課職員さんへのインタビューの様子をお届けしました。
第2弾では「あいサポートメッセンジャー」に焦点を当て、メッセンジャーとして活動を推進している社会福祉法人敬仁会の石田さん、福田さんへのインタビューをお届けしました。
そして第3弾の今回は、あいサポート運動を企業として推進していく「あいサポート企業・団体」になるまでのステップをご紹介していきます!
「あいサポート企業」ってなに?
「あいサポート企業・団体」
「あいサポート企業・団体」とは、誰もが暮らしやすい地域社会(共生社会)の実現を目指して、
従業員を対象とした「あいサポーター研修」を実施し、
「あいサポート運動」の普及に取り組む企業(団体)のことです 。

この取り組みは、個人や行政だけでなく、企業や団体も主体的に関わり、ともに共生社会をつくっていこうというものです。
令和7年5月末の時点でのあいサポート企業・団体の認定数は全国合計3,202件。そのうち鳥取県内の認定企業は870件と、鳥取県が最も多くの認定を受けています。
「あいサポート企業・団体」になるには、職員を対象とした「あいサポーター研修」を受講し、規定の申し込み手続きを行うことで認定されます。特別な資格は必要なく、障がいのある方が日常生活で困っている場面でちょっとした手助けや配慮をしたり、「あいサポートバッジ」を身につけて活動を広めたりと、企業・団体全体での意識の向上が求められます。
今回の記事では、「あいサポート企業・団体」になるまでの流れや実際の研修の様子をご紹介します。
「職場の研修で、あいサポート運動を取り上げてみたい」「せっかくなら企業全体での良い機会にしたい」——そんな風に考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「あいサポート企業」になるまでの流れ
「あいサポート企業」になるためには、職員を対象とした「あいサポーター研修」の受講が必須です。
まずは、鳥取県社会福祉協議会に連絡し、研修実施の相談をします。日程調整を行い、県に登録されている「あいサポートメッセンジャー」を講師として派遣してもらいます。
問い合わせ先 | 鳥取県社会福祉協議会福祉振興部 |
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電話番号 | 0857-59-6344 |
FAX | 0857-59-6340 |
メール | aisapo@tottori-wel.or.jp |
鳥取ぺんぎん編集部で実際にメール相談してみました!申込書が添付された返信があり、申込書を記入し送信した後は、担当メッセンジャーさんからの連絡を待つだけ◎スムーズに研修の実施日が決まりました★
「あいサポーター研修申込書」提出先: 〒689-0201 鳥取市伏野1729-5 鳥取県立福祉人材研修センター内 (電話)0857-59-6344 (FAX)0857-59-6340 |
研修は原則、事業所での実施が推奨されていますが、集合での研修が困難な場合は、DVDや動画等の研修資料を視聴することで、実施修了となる場合もあります。
ここでは、それぞれのパターン別に、詳しい流れをご説明します。
【1】 事業所で「あいサポートメッセンジャー」による研修を実施する場合
まずは、各事業所で研修を行う場合の手順を紹介します。
【1】-1.研修実施
研修は基本的に各事業所で開催されます。研修時間は約75分(または50分)で、以下の内容が含まれます。

研修内容
- あいサポート運動の説明(10分)
- 障がい理解のためのDVD視聴(50分 ※25分もあり)
- 簡単な手話講座(10分)
- まとめ(5分)
具体的な研修内容については、記事の後半で紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください♪
【1】-2.研修終了後

研修終了後、受講者全員に「あいサポーターバッジ」が渡され、研修完了となります。
【1】-3.あいサポート企業への認定申請
研修後に「あいサポート企業等認定申請書」を提出することで「あいサポート企業・団体」として認定されます。
希望に応じて、事業所の壁やデスクに貼り付けるステッカーなどももらえるそうです◎
「あいサポート企業等認定申請書」提出先: 〒680-8570 鳥取市東町1丁目220番地 (電話)0857-26-7675 (FAX)0857-26-8136 |
【2】DVD視聴による研修を実施する場合
【2】-1.DVD・研修資料の視聴

集合での研修が困難な場合は、DVDや動画等の研修資料を視聴することで研修に代えることができます。まずは、鳥取県社会福祉協議会福祉振興部宛に、連絡をしてみましょう。
【2】-2.あいサポート研修等実施報告書の提出
視聴後、「あいサポート研修等実施報告書」に実施の期日などを記載し、鳥取県社会福祉協議会に送付します。職場でまとめて提出することもできます。
「研修実施報告書」提出先: 〒689-0201 鳥取市伏野1729-5 鳥取県立福祉人材研修センター内 (電話)0857-59-6344 (FAX)0857-59-6340 |
【2】-3.研修実施報告書受理後
報告書が受理されると、「あいサポーターバッジ」が送られてきます。
【2】-4.あいサポート企業への認定申請
【1】-3同様、「あいサポート企業等認定申請書」を提出することで「あいサポート企業・団体」として認定されます。
各申請書や送付先、そのほか実際の研修で使用されるDVD映像や研修資料について、詳しくは下記をご覧ください。
鳥取ぺんぎん編集部が「あいサポート研修」を受講してみました!

今回、鳥取ぺんぎん編集部では「あいサポート運動」を理解するため、実際に「あいサポート研修」を受講してみました!当日の様子を少しだけご紹介します。
鳥取市役所のあいサポートメッセンジャーが講師に

当日講師を務めてくださったのは、鳥取市役所のあいサポートメッセンジャー、田中さん。
スクリーンの設置など迅速に準備していただけて、スムーズに研修がはじまりました。
楽しく学べるクイズもあり!“気づき”が詰まった参加型の研修

問題です。この傘は、通常の傘に比べて、雨音が静かに聞こえるように工夫されています。さて、この傘は、どのような障がいのある方のために作られたものでしょうか?
スクリーンに映し出されたのは、雨音が軽減されるという特徴を持つ一本の傘。いったい、どんな障がいのある方のために作られたものなのでしょう?
編集部で頭をひねった結果・・・
感覚が敏感な自閉症の方とか・・・だと思います!
正解は、「視覚障がい」のある方のために作られた傘で、「サイレントアンブレラ」と呼ぶものです。
え?!視覚障がい・・?!雨音となんの関係が・・?
解説によると、視覚障がいのある方は周囲の状況を音で判断することが多いため、雨の日は雨音によって周囲の音がかき消され、不安を感じやすくなるのだそうです。その不安を軽減するために、雨音をやわらげる「サイレントアンブレラ」が開発されたとのことでした。
編集部一同、思わず「なるほど!」と驚き。そもそも、こんなアイテムがあることすら知りませんでした。
このように、研修ではクイズがいくつか出題され、参加者みんなが自然と考え、発言できる「参加型」のスタイル。楽しみながら学べるので、どんな企業でも取り入れやすい研修だと感じました。

また、私たちにとって身近な自動販売機やタクシーを例に、障がいのある方に対してどのような配慮がなされているのか、具体的な事例を交えて教えていただきました。
普段は何気なく利用しているものにも、実はさまざまな工夫や配慮が施されているとわかり、“気づき”の多い時間となりました。
DVD視聴で、“リアルな声”に触れる

続いて、障がいへの理解を深めるためのDVDを視聴しました。
この映像では、さまざまな障がいの特性や、障がいのある方が日常生活で実際に直面している困りごと、そして、私たちができる「こんな配慮があると助かります」といった具体的な声が紹介されていました。
映像ならではの臨場感を通して、文字だけでは伝わりにくい障がいのある方の思いや状況を、よりリアルに感じ取ることができました。
実際に鳥取県で働く障がいのある方へのインタビューも紹介されており、働く現場でのリアルな声を知ることができました◎
「映像を見てみたい!」という方は、下のリンクから映像の視聴ができますので、ぜひご覧ください。
実践×体験で理解が深まる!手話も学べる多彩な研修内容

研修の後半では、手話講座が行われました。「おはようございます」「こんにちは」など、日常でよく使う挨拶を、実際に声に出しながら手話で表現してみます。
まずは手を前にして、指を挙げて・・・そうです!みなさんいい感じですね◎
初めて手話に触れる参加者も多く、最初は少し戸惑いもありましたが、講師の方が丁寧に教えてくださったおかげで、終始和やかな雰囲気。楽しく学ぶことができました。
ほんの少しの手話でも、相手とのコミュニケーションの幅がぐっと広がる――そんなことを実感できる、貴重な体験となりました。
研修の中で使用された実際のチラシがこちらです!チラシもひとりひとりに配布されるので、持ち帰って自分で復習も◎
質疑応答で疑問を解消!あっという間の75分
あっという間に研修も終わりに近づき、研修中に感じた疑問や、さらに詳しく知りたいことなどを質問できる時間もありました。講師の方も一つ一つ丁寧に答えてくださり、全員が理解を深めることができたようです。
実際に「あいサポート研修」を受けて
今回のあいサポート研修を通じて、障がいのある方の日常や困りごとについて具体的に理解を深められたのはもちろんですが、「ひとりひとりの個性や可能性に目を向けることの大切さ」も強く感じました。
ひとくくりに障がいと言っても、その特性はさまざま。適切な道具や配慮があれば、障がいがあっても「できること」はたくさんある。
個性に目を向け、一人ひとりに合った手助けや配慮を考えることが、共に生きる社会をつくる第一歩なのだと実感しました。
「あいサポート運動」の理念は、障がいのある方だけでなく、高齢者や子ども、外国の方など、多様な人々が支え合える「地域力」の向上にも繋がります。
企業や団体がこの研修を受け、「あいサポート企業・団体」として認定されることで、社員一人ひとりの意識が高まり、誰もが働きやすい職場づくりや、地域・社会との連携強化にも繋がるでしょう。
鳥取県から始まった「あいサポート運動」。
障がいのある方もない方も、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、まずは「あいサポート企業・団体」としての認定を目指してみませんか?